フラット50とフラット35の違いを徹底解説──超長期固定ローンは本当に得か?

フラット50とフラット35の違いを徹底解説|メリット・デメリットや利用条件も詳しく紹介 お役立ち情報
フラット50とフラット35の違いを徹底解説|メリット・デメリットや利用条件も詳しく紹介

住宅ローンの選び方が人生設計を左右する時代に

住宅ローンは、多くの方にとって人生最大の借入であり、最長35年、あるいはそれ以上にわたって返済が続く「長期的なパートナー」ともいえる存在です。特に最近では、子育てや教育費、老後の生活資金を見据えた「ライフプラン全体の見直し」の中で、ローンの借入期間や金利タイプをどう選ぶかが、ますます重要なテーマとなってきました。

そうした中、2023年度から新たに登場した住宅ローン商品「フラット50」が注目を集めています。既存の「フラット35」に比べて返済期間が15年長く、最長50年という超長期の固定金利ローンを実現したこの商品。果たして本当に有利なのでしょうか? また、どのような世帯に向いているのか?

本記事では、ファイナンシャルプランナー監修の住宅ローン比較記事を引用しながら、「フラット50」の仕組みや金利の見通し、他商品との違いなどを詳しくご紹介します。

「フラット50」とは?基本概要と対象住宅

まず「フラット50」とは何かを押さえておきましょう。

「フラット50は、長期優良住宅の取得を支援するために誕生した、最長50年の固定金利型住宅ローンです」

お金の悩み解決ナビより

このように、フラット50は単なる長期ローンではなく、国が認定した「長期優良住宅」の新築取得者を対象とした制度です。つまり、すべての住宅購入者が使えるわけではなく、住宅性能や耐震性・省エネ性など、一定の基準を満たした建物に限られます。

これは住宅政策全体の流れとも連動しています。政府は住宅の「ストック型社会」への移行を目指しており、長寿命な住まいへの投資を促進する政策が強化されています。フラット50はその一環として設計された商品なのです。

フラット35との違いはどこにあるのか?

同じ「フラット」と名前が付いていますが、フラット35と50ではいくつか大きな違いがあります。以下は、紹介記事内で整理されていた比較ポイントの一部です。

比較項目フラット35フラット50
借入期間15年~35年36年~50年
対象住宅一般住宅(基準あり)長期優良住宅のみ
金利タイプ全期間固定全期間固定
融資限度額8,000万円以内(条件あり)同様(但し50年用に再計算あり)

また、フラット50を取り扱っている金融機関はまだ限られており、今後の普及が進むことで利便性や選択肢が拡大していくと見られます。

金利は本当に安定しているのか?長期固定型ローンの特徴

固定金利型ローンの最大のメリットは、金利上昇の影響を受けない安心感にあります。特に近年は、世界的にインフレが続く中で「金利が今後さらに上昇するかもしれない」という見通しが現実味を帯びています。

「2025年3月時点でフラット50の市場シェアは全住宅ローンの約0.8%ですが、長期優良住宅の新築着工件数増加と連動し、今後数年で2%台への拡大が予想されています」

お金の悩み解決ナビより

将来的に金利が上がった場合、変動金利型のローンは返済額が増えるリスクがあります。その点で「金利が低いうちに50年の固定金利で借りておく」という判断は、ある意味で“インフレヘッジ”ともいえるわけです。

実際の金利推移と今後の見通し

記事内では、2021年~2030年までの金利推移を予測したシミュレーショングラフが紹介されています。金利は毎月変動しますが、過去数年間の推移から見ると、以下のような傾向があります。

  • フラット35の金利は2021年には1.3%前後 → 2025年には2.05%前後へ上昇
  • フラット50は登場当初(2023~2024年)で2.1%前後が目安
  • 今後は世界的な金利水準に合わせて、さらに上昇の可能性も

金利・返済額の推移グラフ

住宅ローン金利・返済額シミュレーション

住宅ローン金利・返済額シミュレーション

フラット35フラット50の金利推移と月々の返済額をシミュレーションできます。
フラット50は2025年から導入された新サービスで、最長50年の返済期間が特徴です。

フラット35・フラット50 金利推移(2021-2030)

年度 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030
フラット35 1.3% 1.5% 1.7% 1.9% 2.05% 2.2% 2.3% 2.4% 2.5% 2.6%
フラット50 2.2% 2.3% 2.4% 2.5% 2.6% 2.7%

※ フラット50は2025年から導入された新サービスです

フラット35シミュレーション

月々の返済額

117,456

総返済額

49,331,520

総支払利息

14,331,520

フラット50シミュレーション

月々の返済額

94,632

総返済額

56,779,200

総支払利息

21,779,200

※このシミュレーションで使用している金利は、過去の実績や現在の市場動向を参考にした仮定値です。将来の金利は経済情勢や政策変更等により変動する可能性がありますので、あくまで参考情報としてご覧ください。

フラット50はどんな人に向いているのか?

ここまでの情報を踏まえると、フラット50の利用が向いているのは以下のような方です。

若年層(20代〜30代)でマイホームを早期取得したい人
長期ローンにより月々の返済負担を抑えやすくなります。

長期優良住宅の新築を検討している人
この制度を活用することで、税制優遇とローン条件の両方のメリットを享受できます。

金利上昇リスクを避けたい人
全期間固定であることから、将来の住宅ローン返済額が一定で予測しやすいです。

一方で、注意点もあります。50年ローンは返済総額が大きくなるため、早期完済や繰上返済の計画を併用することが望ましいです。また、退職後も返済が続く可能性があるため、「老後の返済負担」についてもシミュレーションしておく必要があります。

欧州と比較すると?50年ローンの国際的な位置づけ

「欧州では50年ローンは珍しくなく、ドイツでは全住宅ローンの約12%が40年以上の超長期型となっています」

お金の悩み解決ナビより

海外では、日本よりも長期住宅ローンが一般化している国もあります。特にドイツやフランスでは、長寿命の住宅ストックを前提にした設計・資産形成が進んでおり、50年という返済期間が特別視されないケースもあります。

日本でも、今後人口減少社会を見据えた「質の高い住宅」の普及が進めば、フラット50のような制度の活用がより一般的になるかもしれません。

まとめ

住宅ローンは一人ひとりのライフプランに深く関わるテーマです。
中でもフラット35やフラット50のような全期間固定型ローンは、将来の金利上昇や家計の変化に備えた安定した資金計画を可能にします。本記事でご紹介したように、それぞれのローンにはメリットと注意点があり、自身のライフステージや将来設計に応じた選択が重要です。

特にフラット50は、長期優良住宅という高性能な住まいとセットで利用する制度であり、長期的な住宅資産形成と相性の良い選択肢です。ただし、50年という返済期間は返済総額や老後の資金計画にも大きく影響します。単に月々の返済額だけで判断せず、「将来の暮らし方」まで見据えた検討が不可欠です。

今後、住宅ローンを取り巻く制度や金利環境はさらに変化していくことが予想されます。正確な情報とシミュレーションをもとに、信頼できる専門家のサポートを受けながら、自分に最適な選択を行うことが何よりの安心につながるでしょう。

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